2013年01月17日

ADA&EASD合同の2型糖尿病のガイドラインその10

Tです。
続きです。

食事の際のインスリン追加投与を、食後高血糖が顕著な際(180mg/dl以上)には考慮しなければならない。この事が示唆される状況は、基礎インスリンを3~6ヶ月調節して食前血糖は目標値内だがHbA1cは目標に達していない状況である。基礎インスリンの増量により、夜間や食事時に血糖が大きく下げる場合も同様であり、基礎インスリンの量を減らして食後インスリンを開始すべきである。基礎インスリンはトータルのインスリン量関わらず空腹時血糖で調節するが、食後インスリン療法は恐らく日々の投与量は0.5単位/kg/日を超え、場合によっては1単位/kg/日になる事もあることをpractitionerは知っておく必要がある。食事の際のインスリン分泌の目的は食事による急激な血糖上昇を抑えることにある。一部の患者では食事による血糖上昇が極端であり、結果として日中のコントロールがうまくいかないこともある。こういう時には2つの方法がある。

精密かつ柔軟な食後血糖をカバーする方法として、 “basal-bolus”療法、つまり基礎インスリンに加えて短時間作用型インスリンを食前に加える方法が挙げられる。1つのアプローチとして、食後インスリンの追加はまず血糖の上昇が最大となる食事の前に投与する。絶対ではないが多くの場合、最大の炭水化物量を摂取する食事は夕食である。2回目の注射は血糖の上昇が2番目に大きい食事前(多くの場合朝食)に、3回目の注射は血糖の上昇が最も小さい食事の前(多くの場合昼食)に投与する。基礎インスリンの後、この追加するレジメンの実際の血糖に与える有益性は多くの患者にはささやかなものでしかない。だからこそ、もう一度述べるが、治療の個別化が鍵なのだ。対処する必要のある高血糖の程度や患者の全般的な能力を織り込む必要があるのだ。重要なのは、自己測定のデータの傾向が、コントロールを最適化するためのインスリンの調節や高度なレジメンの用量調節を助けてくれるということである。

2つ目の方法として、より簡便であるが柔軟性の劣る方法、“premixed”インスリン、つまり中間型インスリンとレギュラーインスリンもしくは超速効型インスリンアナログとの固定されたコンビネーションから成るインスリン製剤が挙げられる。慣習的に1日2回、朝夕食前に投与される。一般的に基礎インスリン単独療法と比較して、混合型のレジメンのほうがよりHbA1cを下げる傾向にあるが、軽度の低血糖や体重増加がしばしば起こる。不利な点として、長時間作用の成分を含むために短時間作用の調節ができない点である。従って、この戦略はやや柔軟性に欠けるが特定の患者には適切であると考えられる。つまり食事が規則的で基礎インスリンから進行したシンプルなアプローチが必要な患者には適切である。(古くてあまり用いられない2回打ちのバリエーションとして “split-mixed” 、つまり患者によりレギュラーもしくは超速効型インスリンの量を調節し、中間型インスリンの量を固定する方法が知られている。このやり方なら自由度が上がる。)


bigvoice212065 at 22:32│Comments(0)海外糖尿病ガイド 

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
ギャラリー
  • 第79回九州山口薬学大会に行ってきた3
  • 第79回九州山口薬学大会に行ってきた3
  • 第79回九州山口薬学大会に行ってきた3
  • 第79回九州山口薬学大会に行ってきた2
  • 信州に旅行に行ってきました3
  • 信州に旅行に行ってきました3
アクセスカウンター
  • 累計: