2014年04月12日

米国の痛風管理のガイドライン2012サマリーその6

Tです。
続きです。
(以下、誤訳の可能性があるので気になる人は原文を読むことを勧めます。)

TFPが次に考えているのは、アロプリノールによる重度の過敏反応による障害(いわゆるアロプリノール過敏反応(AHS))の対策である。TFPの議論では、AHSに関して、重症による入院及び死亡率は20~25%と認識されている。米国におけるAHSの推定発生率は約1:1000だが、その中にはSJSやTENだけでなく、高酸球増多、血管炎、発疹、主要なend-organ disease等を伴う全身疾患も含まれている。サイアザイドの併用、腎機能障害がAHSのリスクファクターとして関与している。広く用いられているリスクマネジメント戦略は、エビデンスに基づくアルゴリズムではないが、腎機能に応じてアロプリノールの維持量を調節する事(evidence C)ではあるが、TFPはこれを推奨してはいない。

リスクマネジメント戦略のコンポーネントとしてのアロプリノールの開始用量の評価に関して、TFPが重要視しているエビデンスは、重篤なアロプリノールの過敏反応のリスクが最も高いのは治療初期の数ヶ月である、というものである。最近の、AHSとアロプリノールの開始用量に関する後ろ向き症例対照分析は、アロプリノールの初期投与量を100mg/日以下にすべきである、という前述のTFPの推奨を支持するものであり、CKDステージ4もしくはそれ以上の腎機能障害患者はさらに低い用量(50mg/日)で開始する事をTFPは推奨している(evidence B)。

またTFPはAHSのスクリーニングに関して、急速に伸びてきている分野である薬理遺伝学に注目している。TFPが推奨していることとして、AHSのリスクの高い患者に関してアロプリノール投与の開始前にHLA-B*5801の検査を考慮すべきである(evidence A)。HLA-B*5801をもつ亜集団として、CKDステージ3以上の韓国系(HLA-B*5801対立遺伝子頻度~12%)、腎機能に関わらず漢民族やタイ人(HLA-B*5801対立遺伝子頻度~6–8%)はAHSのリスクが高い例として文献で強調されており、HLA-B*5801のハザード比は数百と、顕著である。このようなハイリスクな患者に対し、もしHLA-B*5801陽性であればアロプリノールの代替処方を推奨する(evidence A)。TFPの推奨するHLA-B*5801のスクリーニングは、素早く、広く利用可能なPCRベースのアプローチであり(evidence A)、そのうちわずか~10%はさらに細かく調べる必要があり、決定的な結果をHLA-B*5801シークエンス処理によるフォローアップを行う必要がある。はっきりTFPが推奨しないこととして、世界中でHLA-B*5801のスクリーニングは行うべきではない。このTFPの判断に関する最新のエビデンスとして、白人はHLA-B*5801の陽性率は~2%であり、前述のアジアの亜集団と比べてHLA-B*5801のハザード比もテストの陰性的中率も低かった。

(・・・続く)

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