2014年06月28日

抑肝散は統合失調症の興奮にも有用?

Tです。
carenetに興味深い論文が紹介されていた(著者は日本人!)ので、abstractを読んでみました。
Efficacy and safety of yokukansan in treatment-resistant schizophrenia: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial (a Positive and Negative Syndrome Scale, five-factor analysis).
PMID:24923986

抗精神病薬治療抵抗性の統合失調症患者に対する抑肝散の有効性及び安全性を調べた多施設ランダム二重盲検プラセボ対象試験。2010年5月~2012年8月の期間に実施した。
日本の34の精神科病院入院患者で抗精神病薬による治療を行っている患者120症例が対象。補助療法として抑肝散7.5g/日もしくはプラセボ治療をランダムに割り当てた。4週間のフォローアップ期間中、精神病理学的評価をthe Positive and Negative Syndrome Scale (PANSS)を用いて5つのファクター(興奮/敵意(P4, P7, G8, G14)、抑うつ/不安(G1, G2, G3, G4,G6)、認知機能(P2, N5, N7, G5, G10, G11, G12, G13,G15)、陽性症状(P1, P3, P5, P6,G9)、陰性症状(N1, N2, N3, N4, N6, G7,G16))を評価した。また、CGI-S,GAF,DIEPSSの評価も行った。有効性の主要評価項目はPANSSの5つのファクターのスコアの変化とした。副次評価項目はCGI-Sのスコアの変化とした。分析は a last observation carried forward methodによるmodified ITTにより行った。
抑肝散は治療抵抗性統合失調症患者において、PANSSで評価した5つのスコア全ての低下においてプラセボに対する優越性を示したが、抑うつ/不安、認知機能、陽性症状、陰性症状においてその差は統計的に有意ではなかった。しかし、プラセボと比較して抑肝散はPANSSの興奮/敵意のスコアに関して統計的に有意な改善を示した(p < 0.05)。副作用は特に見られなかった。

抑肝散は「抑疳散」とも言い、正に疳の虫を抑える漢方として有名ですが、統合失調症患者の興奮も抑える可能性も期待できるようです。

bigvoice212065 at 19:26│Comments(0)Tの記事 

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