C.difficile診療ガイド2010

2013年07月01日

SHEA,IDSA作成C.difficile診療ガイドライン2010その1

Tです。
療養型の病院でも(だからこそ?)C.difficileに悩まされることはあると思います。俺の病院でも稀に問題になるケースがあります。

今後、診療の一助となるように、SHEA,IDSA作成C.difficile診療ガイドライン2010のExecutive Summaryをまとめておこうと思います。
Clinical practice guidelines for Clostridium difficile infection in adults: 2010 update by the society for healthcare epidemiology of America (SHEA) and the infectious diseases society of America (IDSA).
PMID:20307191

フリーで読めるので、興味のある人は読んでみてください。
(以下、誤訳の可能性があるので気になる人は原文を読むことを勧めます。)

Executive Summary
このガイドラインは、成人におけるC.difficile感染症(CDI)の診断及びマネジメントがより良いものになるように作成した。CDIは症状(通常は下痢)と、検便によるC.difficile毒素陽性もしくは毒素産生C.difficileの検出、もしくは偽膜性腸炎を大腸内視鏡や病理組織学的所見から明らかになった場合と定義する。診断およびマネジメントに加えて、感染対策及び病原体の感染管理も記載している。提言は、エビデンスとプラクティスに基づいたものであり、SHEAとIDSAによって任命された合同委員会(the SHEA‐IDSA Expert Panel)主導で作成した。ガイドラインの使用に関して、医療機関や資本力の規模、つまり臨床現場における検査室の事情や経済的事情による影響をうけるかもしれない。

Ⅰ.疫学:サーベイランスに必要な最低限のデータと、どのようにデータを報告するか?
1.臨床現場間の比較できる可能性を上げるためには、標準化された定義を用いて症例をサーベイランスすべきである。つまり、(1)医療機関(HCF)発症HCF関連CDI;(2)市中発症HCF関連CDI;(3)市中関連CDI(Figure 1) (B‐III)
2.最低限、HCF発症HCF関連CDIのサーベイランスは、アウトブレイクを察知し患者の状態をモニターする為に、有床施設の全てが実施すべきである(B‐III)
3.医療関連CDIを評価するレートとして、症例数/10000患者日を用いるべきである(B‐III)
4.CDIのレートが他施設と比較して高い、もしくはアウトブレイクが発生した場合、管理目標を定めるためにもpatient locationによってレートを分けるべきである(B‐III)

(・・・続く)

bigvoice212065 at 20:08|PermalinkComments(0)

2013年07月02日

SHEA,IDSA作成C.difficile診療ガイドライン2010その2

Tです。
続きです。
(以下、誤訳の可能性があるので気になる人は原文を読むことを勧めます。)

Ⅱ.診断:臨床検査室でCDIを診断するのに最も良い検査は何か?診断を補助する検査は何か?
5.C.difficileもしくはその毒素の検査は、C.difficileによるイレウスが生じていることが疑われない限り、下痢(軟便)の便を検体として用いる必要がある(B‐II)
6.test of cureとしての使用を含めて、無症候性患者の便検体を用いた検査は臨床的に有用ではない。疫学研究の場合を除いて、推奨されない(B‐III)
7.便培養は最も感度の高い検査であり、疫学研究において不可欠である(A‐II)
8.しかし、便培養は結果が出るまで時間がかかるため臨床的には実用的ではない。便培養の次に感度と特異度が高いのは、経験豊かな検査室で行われる産生毒素の分離同定(ie, toxigenic culture)であり、それ以外の臨床検査結果と比べてスタンダードである(B‐III)
9.酵素免疫測定法(EIA法)によるC.difficileの毒素A,Bの試験は迅速ではあるが細胞毒性試験と比べて感度が低い。従って、EIA法による毒素試験は診断の補助的アプローチである(B‐II)
10.毒素試験は臨床的に最も重要ではあるが、感度が極めて低いのが難点である。この問題を克服する1つの方法として、最初のスクリーニングとしてグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)のEIA検出を行い、GDH陽性の糞便検体のみを細胞毒性試験やtoxigenic cultureで確認する方法がある。結果は使用されるGDHキットによって左右されると考えられる;従って、多くのデータがGDHテスト検査の感度で利用できるようになるまで、この方法は暫定的な提言である(B‐II)
11.ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR法)は迅速で、感度も良く、特異度も高いように思われる。最終的には検査の懸念に addressできるかもしれない。実用性に関する更なるデータが、この方法をルーチンで検査することを提言する為には必要である(B‐II)
12.同じ下痢のエピソード中に検査を繰り返し行うことは制限されるべきであり、全く推奨されない(B‐II)

(・・・続く)

bigvoice212065 at 01:42|PermalinkComments(0)

SHEA,IDSA作成C.difficile診療ガイドライン2010その3

Tです。
続きです。
(以下、誤訳の可能性があるので気になる人は原文を読むことを勧めます。)

Ⅲ.感染管理と予防:病院において、何がCDIによるアウトブレイク発生時に最も重要な感染対策か?

A.医療従事者、患者、及び訪問者のための対策

13.医療従事者及び訪問者はCDI患者の病室に入る際は手袋をすべき(A‐I)であり、ガウンを着るべき(B‐III)である。
14.手指衛生の遵守を推奨すべきである(A‐II)
15.アウトブレイクを起こしている、もしくはCDIのレートが上昇している場合、訪問者や医療従事者にCDI患者の世話及び接触後の石鹸(もしくは抗菌石鹸)と流水による手洗いを指示すべきである(B‐III)
16.患者は個室隔離し、接触予防策を行うべきである(B‐III)。個室が使用できない場合、コホーティングを行い、それぞれの患者専用便器を提供すべきである(C‐III)
17.下痢の期間は接触予防策を維持すべきである(C‐III)
18.感染管理のためにルーチンで無症候性キャリア(患者及び医療従事者)を識別することは推奨されない(A‐III)。また、それで特定された患者の治療に効果は無い(B‐I)

B.環境清掃と消毒
19.C. difficileの環境中の発生源を特定し除去することは、電子直腸温度計をディスポーザブルに切り替えることも含めて、CDIの発生率を減少させることができる(B‐II)
20.CDIのレートが増加しているエリアの環境汚染に対処するためには、塩素含有消毒薬もしくは他の殺芽胞性の消毒薬を用いるべきである(B‐II)
21.ルーチンのC. difficileの環境スクリーニングは推奨されない(C‐III)

(・・・続く)

bigvoice212065 at 02:46|PermalinkComments(0)

SHEA,IDSA作成C.difficile診療ガイドライン2010その4

Tです。
続きです。
(以下、誤訳の可能性があるので気になる人は原文を読むことを勧めます。)

C.抗菌薬の使用制限
22.抗菌薬治療の頻度と投与期間、及び特定抗菌薬の使用量を最小限に抑え、CDIのリスクを減らすべきである(A‐II)
23.antimicrobial stewardship programを実施すべきである(A‐II)。ターゲットにする抗菌薬は、地域の疫学及びC. difficile株に基づくべきであるが、セファロスポリン及びクリンダマイシンの使用制限(手術時の予防抗菌薬を除く)は特に有用である(C‐III)
D.プロバイオティクスの使用
24.現在利用可能なプロバイオティクスの投与はprimaryCDIの予防には推奨されない。このアプローチを支持するデータは限られており、血流感染を起こす潜在的リスクがあるためである(C‐III)。

(・・・続く)

bigvoice212065 at 02:53|PermalinkComments(0)

SHEA,IDSA作成C.difficile診療ガイドライン2010その5

Tです。
続きです。
(以下、誤訳の可能性があるので気になる人は原文を読むことを勧めます。)

Ⅳ.治療:CDIに対する抗菌薬の選択、どんな患者に治療し、その際にどんな抗菌薬を使うのか?
25.CDI再発のリスクに影響を及ぼす可能性があるので、可能な限り要因となった抗菌薬を中止する(A‐II)
26.重症又は難治性のCDIが疑われた場合、診断が疑われてすぐに経験的治療を行うべきである(C‐III)
27.便の毒素試験の結果が陰性の場合、治療の開始、停止、継続は個別に判断すべきである。(C‐III)
28.止瀉薬は、できるだけ使用を避けるべきである。止瀉薬は症状を不明瞭にし、中毒性巨大結腸症を引き起こすことがある(C‐III)
29.メトロニダゾールは、軽症~中等症CDIのエピソード初期に用いられる。投与量は1回500mg経口、1日3回、10~14日間(A‐I)
30.バンコマイシンは重症CDIのエピソード初期に用いられる。投与量は1回125mg経口、1日4回、10~14日(B‐I)
31.重症かつ難治症CDI治療の処方として、バンコマイシンの経口(イレウスを起こしている場合は直腸投与)に、メトロニダゾールの静脈内投与の併用を考慮する。バンコマイシンの投与量は経口なら1回500mg1日4回投与、直腸投与なら1回500mgを約100mlの生理食塩水に溶解させ、6時間ごとに投与。メトロニダゾールは1回500mgを8時間ごとに静脈内投与(C‐III)

(・・・続く)

bigvoice212065 at 20:18|PermalinkComments(0)
ギャラリー
  • 第79回九州山口薬学大会に行ってきた3
  • 第79回九州山口薬学大会に行ってきた3
  • 第79回九州山口薬学大会に行ってきた3
  • 第79回九州山口薬学大会に行ってきた2
  • 信州に旅行に行ってきました3
  • 信州に旅行に行ってきました3
アクセスカウンター
  • 累計: