海外糖尿病ガイド

2013年01月01日

ADA&EASD合同の2型糖尿病のガイドラインその1

Tです。
年末は思ったより忙しかったため、ゆく年くる年とはいきませんでしたが、米国&欧州糖尿病学会合同の2型糖尿病のガイドラインの和訳に挑みたいとおもいます。
途中までやってみた感想として、正月休みだけでは終わらないと感じました。予定を変更して1月一杯には終わらせようと思います。
あと、いつも書いていることですが、俺の英語能力はあまり高くありません。誤訳の可能性があるので興味がある人は原文を読むことをおすすめします。(ほんの12~13ページ位です。)

                〈米国&欧州糖尿病学会合同の2型糖尿病のガイドライン〉
序文及びPATIENT-CENTERED APPROACH、BACKGROUNDは省略する。

ANTIHYPERGLYCEMIC THERAPY(糖尿病の治療)
・目標値
ADAの “Standards of Medical Care in Diabetes”で述べられているが、HbA1cを7.0%未満にすることで、多くの患者の末梢神経障害の発生率が減少する。これは平均血糖を150~160mg/dlに保つことで達成されるが、空腹時や食前血糖を130未満、食後血糖を180未満に保つのが理想的である。
より厳しいHbA1c(6.0~6.5)を目標として考慮しても良い患者は罹病期間が短く、長生きが見込まれ、重篤な心血管疾患の既往が無い患者で、重症低血糖や治療の副作用が無ければ考慮しても良い。
逆に、ゆるやかなHbA1c(7.5~8.0、もしくはもう少し高め)の目標が適している患者は過去に重篤な低血糖の経験があり、短命が予想され、合併症が進行した患者であったり、セルフマネージメントの説明を行い、カウンセリングを繰り返し、インスリンを含む複数の血糖降下薬を用いてなお、目標達成が困難な患者などである。
前述(省略した部分に記載されています)の、2型糖尿病患者における心血管系試験によれば、誰もがアグレッシブな血糖マネージメントが有益というわけではない、ということである。
重要なのは治療目標値を患者ごとに個別に設定することである。臨床医が患者ごとにHbA1cの目標値を選択するための要点を図1に示す。
1
前述した(省略した部分に記載されています)が、患者の希望や価値観も考慮に入れるべきである。血糖コントロールの任意の程度の達成には積極的な参加とコミットメントが必要なのだから。医師と患者の間で合意して治療目標値に反映されるべきである。
重要なコンセプトとして、いかに簡単に目標値を達成できるか、が治療法の選択に影響を及ぼす。論理的に考えて、単純なレジメンで副作用が全くもしくはほとんど無く達成することができるなら、目標値は低いほうが良い。
HbA1c 7.0%未満の患者の割合をクオリティの指標として活用し、医療機関が公表することは、患者個別の目標値の推進と矛盾することである。

bigvoice212065 at 02:44コメント(0) 

2013年01月03日

ADA&EASD合同の2型糖尿病のガイドラインその2

Tです。
前回の続きです。

・治療のオプション
①ライフスタイル
個人の食事や運動のレベルに介入し、影響を与えることは2型糖尿病マネージメントの重要な部分である。
患者は標準化された、特に食事への介入や運動することの重要性に力点を置かれた一般的な糖尿病教育を(個人もしくは集団で、適切なカリキュラムで)受けるべきである。健康的なライフスタイルへの変化を促すことは診療上重要であり、定期的なカウンセリングを治療プログラムに組み込むべきである。
減量を食事療法のみ、もしくは内科的・外科的介入で達成することで血糖コントロールや心血管リスクが改善する。わずかな減量(5~10%)で血糖コントロールが有意に改善する。従って、減量もしくは体重維持を治療目標に組み込むことが推奨される。
食事のアドバイスは個別に行うべきである。患者は一般的に言われる健康な食事であり、個人の好みや文化に合う健康的な食事を摂る事が推奨される。食物繊維を多く含む食物(野菜、果物、全粒穀物、豆類など)、低脂肪の乳製品、新鮮な魚類が推奨される。高カロリー食、飽和脂肪酸の豊富なもの、甘いデザートやお菓子は(量的にも頻度的にも)控えるべきである。頻繁に痩せたり太ったり繰り返すことで、ついには減量・体重維持ができなくなる。必要に応じてヘルスケアチームは個人的な見解または基準に基づいて判断はしないが何度も足を運び、健康的なライフサイクルへの変化を促すべきである。
充分な運動はできる限りやるべきで、少なくとも150分/週、有酸素運動とレジスタンストレーニング、柔軟運動を混ぜて行うべきである。高齢者や動きに問題がある患者は、心血管の観点から見ると活動レベルが上がった方が良い。
診療の際、高いモチベーションの患者で、HbA1cも目標値に近ければ(7.5未満)、薬物療法を始める(第一選択はメトホルミン)前にライフスタイルの変化を促すだけで3~6ヶ月様子を見ても良い。通常の糖尿病であったり、ライフスタイルの変化をうまくできないであろう事が予想される場合は即座に治療薬投与を開始する(繰り返すが、第一選択はメトホルミンである)。ライフスタイルの変化が後日うまくいった場合、変更もしくは可能であれば中止することができる。

bigvoice212065 at 17:38コメント(0) 

2013年01月06日

ADA&EASD合同の2型糖尿病のガイドラインその3

Tです。続きです。

②内服薬及び非インスリン注射
個々の患者にどのように治療薬を選択するか、要点はTable.1にまとめている。
2
究極的には血糖コントロールの目的は、生活のクオリティをできるだけ落とさずに、高血糖による高浸透圧昏睡を避け、不安定な血糖値を安定させ、合併症の進展を抑制することである。どの薬剤が有効か、情報は不完全である。(この解答を出すには大規模・長期間の臨床試験が必要である。)血糖コントロールの代替指標(たとえばHbA1c)は一般的に、細血管合併症の発症率に影響を及ぼすが、必ずしも大血管障害の発症率に影響を及ぼすとは言えない。特に、患者にとって安定したメタボリックコントロールが別の具体的な指標となりうる。

メトホルミンは2型糖尿病の第一選択薬としてよく使われるが、作用機序は肝臓でのグルコース生成抑制である。長期使用しても体重に影響が無く、低血糖リスクも上昇しない。メトホルミンには顕著な消化器系副作用がある。乳酸アシドーシスのリスクのある患者においては使用を避ける注意が必要である。前述したが、メトホルミンは心血管に有益であると考えられるが、臨床データは不足している。

最も古い経口薬はSU剤である。β細胞のATPチャネルを閉鎖してインスリンの分泌を促進する。血糖コントロールには効果的だが体重増加、低血糖リスクがある。さらにデータによれば、膵島の機能不全を増悪させ、2次無効が他の薬剤より高頻度である。短時間型のメグリチニド(もしくはグリニド)も同様のメカニズムではあるが低血糖を起こしにくい。しかし服用回数が頻繁である。

bigvoice212065 at 18:11コメント(0) 

2013年01月08日

ADA&EASD合同の2型糖尿病のガイドラインその4

Tです。
ADAの新ガイドライン発刊のため、和訳も1月中には終わらせたいと思います。

(3の続き)
チアゾリジンはPPAR-γに作用して骨格筋のインスリン感受性を改善し、又、肝臓のグルコース生成を抑制する。チアゾリジンは低血糖リスクを増加させず、SU剤やメトホルミンと比較して効果の持続が長い。ピオグリダゾンは心血管イベントには最も有益であることが心血管障害の既往をもつ患者の大規模臨床試験の副次評価項目で示されている。心筋梗塞リスクの上昇と関連があり、あまり使われていない。ピオグリダゾンに関して、最近では膀胱ガンのリスクを上昇させる可能性が考えられている。はっきりしている副作用として、チアゾリジンは体重増加、浮腫につながる体液貯留及び/又は罹患しやすい患者は心不全、骨折リスクの増加にもつながる。

インクレチンシステムに注目した薬剤が出てきたのは最近である。注射型GLP-1作動薬は内因性GLP-1と同様の作用を示す。つまり、血糖依存的に膵インスリン分泌を刺激し、グルカゴン分泌を抑制し、胃排出を遅らせて食欲を抑える。GLP-1作動薬の主なアドバンテージは体重減少であり、多くの場合はそこそこだが、一部の患者においては劇的である。副作用は吐気、嘔吐で特に治療開始初期に生じやすい。膵炎リスク上昇に関しては結論は出ていない。DPP-4阻害剤は活性GLP-1とGIPの循環濃度を高める。DPP-4阻害剤の主な作用はインスリンとグルカゴンの分泌調節で、体重に変動はない。インクレチン製剤は多剤と比較して低血糖は起きにくい。

α-GIとコレセベラムは米国及び欧州ではあまり用いられない。α-GIは消化管からの炭水化物の吸収を遅らせる。コレセベラムは胆汁酸吸着剤であり、血糖効果作用のメカニズムは良く解っていない。主な追加効果はLDLコレステロール低下作用である。α-GIとコレセベラムはどちらも胃腸に作用し、α-GIは主に鼓腸、コレセベラムは便秘を起こす。ドパミン作動薬であるブロモクリプチンは血糖降下剤としては米国でのみ使用可能である。作用機序は良く解っていない。アミリン作動薬のプラムリンチドは通常は1型糖尿病患者のようなインスリン強化療法患者に用いられる。グルカゴン分泌を抑制し、胃排出を遅らせて食後高血糖を抑制する。

非インスリン製剤の血糖降下作用で強いのはメトホルミン、SU剤、チアゾリジン、GLP-1作動薬(HbA1cをだいたい1.0~1.5%低下させる)、弱いのはメグリニチド、DPP-4阻害剤、α-GI、コレセベラム、ブロモクリプチンである(だいたい0.5~1.0%低下)。ただし治療のタイプに関わらず、古い薬剤は一般的に高いベースラインのHbA1cで行われた臨床試験でテストされており、その事が治療効果を大きなものにしている。直接比較試験によれば血糖コントロールに大きな差はない。よって、投与回数や過去の副作用歴、コスト、その他の利点によって患者ごとの薬剤選択は導かれる。

bigvoice212065 at 21:56コメント(0) 

2013年01月09日

ADA&EASD合同の2型糖尿病のガイドラインその5

Tです。
前回までの続きです。
最初にも書きましたが、誤訳の可能性があるので興味のある人は原文を読む事を薦めます。

③インスリン
2型糖尿病でβ細胞の機能障害が進行した場合、インスリン補充療法がしばしば行われる。重要なのは多くの患者で内因性インスリン分泌能が維持されている点であり、1型糖尿病のような複雑な強化療法は通常は必要ない。

理想を言えば、著しい体重増加や低血糖が無ければインスリンは、原則として健常人の血糖プロフィールのように調節すべきである。最初は著しい高血糖もしくは高血糖症状でなければ通常、基礎インスリンのみ追加される。基礎インスリンは一日中、比較的均一に補填され、食間や睡眠中の肝臓のグルコース生成を抑制して血糖をコントロールする。中間型(NPH)もしくは持効型(インスリングラルギンもしくはインスリンデテミル)を用いる。持効型の方がNPHと比較して夜間低血糖のリスクが少なく、やや体重増加も少ないが値段が高い。注目すべき部分として、基礎インスリンアナログ注の投与量は異なるようだ。多くの比較試験においてインスリンデテミルの必要平均単位数は高かった。

2型糖尿病患者でインスリン療法が必要な患者の多くは、基礎インスリンの補充のみでうまくいくが、インスリン分泌能の低下が著しい場合、短時間作用型による食前インスリン療法が必要である。通常は即効型インスリンアナログ注であるインスリンリスプロ、インスリンアスパルト、もしくはインスリングルリジンを食直前に用いる。ヒトレギュラーインスリンより食後血糖コントロールは良好である。レギュラーインスリンは安価ではあるが薬物動態プロフィールがその利点を台無しにしている。

理想的には、インスリン治療プログラムは患者それぞれにあわせてデザインされるべきで、食事/運動の習慣、自己血糖測定の値に合わせて充分なインスリンを用いるべきである。予想される血糖低下効果とレジメンの利便性を、患者それぞれの治療目標(図1参照)を考慮しつつバランスを取るべきである。
患者教育に関して、血糖測定、インスリン注射手技、インスリンの保管法、低血糖の症状及び対処法、シックデイのルールの適切な患者教育は不可欠である。糖尿病療養指導士は患者教育により患者を導くことができ、貴重である。

bigvoice212065 at 23:12コメント(0) 
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